杉並区 摂食・嚥下機能支援推進事業 事例検討会に参加しました。

杉並区訪問マッサージ 東京在宅サービスの相談員をしている湊です。

平成30年1月18日、杉並区歯科医師会館にて開催された、
摂食・嚥下機能支援推進事業 事例検討会に参加させて頂きました。

演題は

「『食べる』を支える ~管理栄養士さんに聞いてみよう!~」

講師は栄養ケア・ステーション『eatcoco』代表の米山久美子 先生

まず米山先生は、“高齢者の低栄養”についてお話し下さいました。
そもそも高齢者は、年齢を重ねることによる身体的変化(食欲低下、唾液分泌低下、口渇感減少、内臓運動機能減少、全身の筋力減少等等)によって低栄養になりやすく、
肉・油などを控えすぎている人が多く見られます。
厚労省の「H26年国民健康・栄養調査」では
高齢者の15~25%が低栄養傾向にあることがわかっています。
リハビリや運動に意欲的な人ほど食事量(栄養量)に気を付けなくてはいけません。

フレイルティ・サイクルというのがあります。

食事量減少→低栄養→筋力体力減少→体重減少→疲労増大・活動量減少→エネルギー消費減少→食欲低下→食事量減少・・・

というものです。
高齢者のQOLを考えた場合、第一のアセスメントで見逃してはいけないのが、

「食事量減少」

ということになります。

また米山先生は「栄養から見た虚弱フロー」をいうものも示して下さいました。

健康→前虚弱(プレフレイル)→虚弱(フレイル)→要介護

という流れ。
この中で最初の『プレフレイル』は
口腔的な要因であったり栄養面的な要因によって
引き起こされていることが多いことに気づかされます。

在宅高齢者で「低栄養+低栄養リスク」がある人は70%に及びます。

おそらく私も含め多くの人が、現場で見ている限り、
栄養面の改善が他のサービス導入やその成果の改善に結び付いている、
ということは、なんとなーく感じていることだと思うのです。
いや、高齢者に限らず、栄養が如何に大事かは自分が身をもって知っているはずなのです。
だから、
栄養が足りない、よし、○○シュアだ、ラコ○○だ、メイ○○ンスだ、とすぐ考える。
それがいいとか悪いとはではなくて、
栄養に関して何かしなくては、という利用者は、
「障害」「疾患」があり
「低栄養状態」であり
「療養食」もあり
「認知症」も加わっていたりする。

訪問管理栄養士という職種が
ではそのような利用者に
何ができるのか?
それを教えて下さいました。
・栄養量のチェック
・身体状態のチェック
・食品ストックのチェック
・栄養と食事形態のアドバイス
・実現可能な調理工夫のアドバイスetc.
そして、多職種の連携=情報共有=栄養面からのQOL向上の提案

もちろん、介護点数の問題やら導入可能な対象疾患の問題もあります。

それらを教えて頂いて、実際の介入事例の紹介がありました。

90歳代、認知症、脳梗塞、嚥下障害、低栄養、褥瘡あり、家族同居〈障害がある)、生活保護・・・
主訴は『数日前から食事をとらなくなった。経口補水ゼリーのみ。それも零してしまう』

何が問題点であり、
どうすれば食事が改善するのか?
様々なチェックをされ、
必要栄養量とその形態を提案され
福祉用具=食事時の姿勢等の提案もされいました。

ここで、パネルディスカッションに移行。

歯科医、訪問看護、訪問STがパネリストとして加わり、米山先生にこの事例に対して、
専門職として気になる点を様々な角度から質問し、意見をされていました。
さすがに、その職種ならではの質問がされていました。
例えば、歯科医からは「歯科的疾患の有無」、
訪問看護からは「排泄状態」「褥瘡の痛みレベル」
 ↑看護師としては「食事と排泄はセット」で考えるため~排泄から食事量・栄養量を推定する。
訪問STからは「嚥下機能」「食べ物に対する認知や食事そのものへの理解」などなど。

その後またスライドを使って、この事例の“その後”の報告がありました。
訪問管理栄養士として、
この事例の方の必要栄養量を算出し、
食形態を「学会分類」で示し、
それをどのような形で(経済状況や調理可不可をも考慮して)
徐々に口から食べられる状態にもっていく。
栄養状態も目標値を定めて改善していく提案をする。
…そのような経過を教えて下さいました。

管理栄養士という職種があることは知っていても、
不勉強なことに、ここまで詳しく介入でき、
栄養だけでなく生活全般を改善へ導くことができるのか
を今まで知らなかったので、驚きを感じました。

最後に米山先生は、
「ご利用者のQOL向上を目指し、
 食を豊かにするという視点を
 栄養士はもっている」

そして、

『食生活は居宅療養の生命線』

と仰っていました。

「食べることは生きること」とよく聞きますが
まさに栄養士が介入することで
QOL向上の幅は広がるなと実感できました。

今後ともこのような機会に足を運び、
少しだけでも地域の役に立つお手伝いが出来るよう精進して参ります。

東京在宅サービス
杉並区担当相談員 湊 貞行

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